妊娠中や授乳中のロゼレムの赤ちゃんへの影響

妊娠中のロゼレム服用はOK?

ロゼレムは医薬品なので、妊娠中の服用にはリスクがあります。しかし、2010年に生まれた比較的新しい睡眠薬のため、古い医薬品にくらべて低リスクというのも事実。そのため、妊娠中の服用の危険性よりも、有効性が高いという時には処方を受けることができます。

 

しかし授乳中は処方は避けるのが一般的で、どうしても処方しなければいけない時はロゼレムを処方する代わりに授乳は中止することになりますので、それを理解しておきましょう。

 

赤ちゃんや乳幼児、小児に関しては処方されたという例がないため、ロゼレムが直接どんな作用があるのかはわかっていません。

 

妊娠中にロゼレムが欲しくなった場合

妊娠中は女性ホルモンの一つである黄体ホルモンのプロゲステロンが非常に増加しやすく、これによっていらいらや不安、やる気が出なくなるなどの影響が出ます。その結果、不眠などにつながり、「睡眠薬が欲しい」と思う女性もいるでしょう。

 

妊娠中の場合であっても、あまりに睡眠障害の症状がひどいようであれば「ロゼレム」を服用がされることはあります。服用することでそれが回避される可能性があるためです。

 

もともと精神的に強くなかった方であれば妊娠中にはさらにひどい不眠に襲われることもあるので、「ロゼレム」によってそれをなんとかしようという最終手段として処方されることがあります。しかし妊娠中であるゆえに、おなかの赤ちゃんに悪影響を与えるのではという不安から、ひどい場合には流産に至ってしまうケースもありますので、服用には細心の注意が必要です。

 

妊娠中のロゼレムのリスクは?

それでは、妊娠中のロゼレムの具体的にリスクについて解説します。

 

妊娠初期(~3か月) 一般的に、睡眠薬には妊婦が服用すると奇形の確率が上がるというデータがある。ロゼレムは新しい医薬品なので人間のデータはまだないが、動物実験では奇形のリスクがわずかに上昇するというデータがある。
妊娠後期(3か月~出産まで) 胎児や新生児に、筋弛緩・低体温・仮死状態のリスクがある。

 

もっとも重要なのが、妊娠初期の催奇形性(奇形確率の増加)です。睡眠薬・抗不安薬を妊婦が服用すると、いわゆる「みつくち」と呼ばれるものなど、胎児の奇形確率がアップするというデータがあるのです。ただ、睡眠薬と奇形には関係が認められないという意見もあり、きちんとした結論はまだ出ていません。ただ、まったく影響なしとするにはまだ不安が残ります。ロゼレムについても、同じ議論がされています。

 

妊娠後期については、ママが飲んだ医薬品の成分がそのまま胎児に影響を与えます。赤ちゃんは体重が少ないですから、ママが飲んだ薬の影響はママの何倍にもなります。そのため、赤ちゃんにロゼレムの影響が出る可能性はあります。

 

ロゼレムの妊娠中のリスクを評価するデータがある

お腹の赤ちゃんにどんな影響があるかは、アメリカ食品医薬品局(FDA)の「薬剤胎児危険度分類基準」で示されています。この評価基準では、その医薬成分が赤ちゃんに与えてしまう影響を「A」から「x」で評価します。

 

A

CONTROLLED STUDIES SHOW NO RISK(ヒト対照試験で、危険性がみいだされない)

 

解説:しっかりと試験を行ったうえで、危険であるという証拠が出なかったもの。

B

NO EVIDENCE OF RISK IN HUMANS(人手の危険性の証拠はない)

 

解説:動物実験では危険性を示す証拠がないが、人の実験はしていないもの。

RISK CANNOT BE RULED OUT(危険性を否定することができない)

 

解説:動物実験では危険性を示す証拠があるが、人での実験ではしていないもの。

D

POSITIVE EVIDENCE OF RISK(危険性を示す確かな証拠がある)

 

解説:動物実験でも、人での実験でも、危険性が確認されているもの。

x

CONTRAINDECATED IN PREGNANCY(妊娠中は禁忌)

 

解説:胎児への危険性の決定的な証拠があり、服用が禁忌であるもの。

 

ロゼレムは、この基準では「C」に当たります。動物実験では危険性が指摘されていますが、人間では評価がまだされていないので、実際に危険性があるかどうかはわかっていないというのが現状です。

 

「D」や「x」といった、「完全にアウト」という評価ではないので、禁忌まではいきませんが、ある程度注意して服用する必要があるということは言えるでしょう。

 

妊娠中は女性ホルモン分泌が乱れて、さまざまな症状が現れてきます。もしそこで「不眠」の症状が出てきたときは、そのまま放置しているとストレス性の流産などのリスクも出てきます。なので、どうしても眠れない場合は、ロゼレムを服用して不眠解消を目指す方が良い場合もあるでしょう。いずれにせよ、医師の診断を受けて、よりよい選択肢を選ぶことが重要です。

 

デパスやハルシオンなどの代用としてロゼレムを使う場合もある

「不眠改善や抗不安などの目的で「デパス」や「ハルシオン」といった医薬品を飲んでいたけど、最近妊娠が判明した」

 

こんな場合は、医師からロゼレムへの乗り換えを推奨されることもあります。

 

ハルシオン X(禁忌)
ユーロジン X(禁忌)
デパス D(要注意)
レキソタン

 

D(要注意)

 

↑は代表的な睡眠・抗不安薬ですが、ハルシオンなどは「X(禁忌)」、デパス、レキソタンなどは「D(注意)」となっており、基本的には妊娠中は服用をやめなければいけない状態となります。

 

その点、ロゼレムは「C」となるため、ハルシオンやデパス、レキソタンにくらべれば「まだマシ」ということで、乗り換えになることがあるのです。

 

あくまでも「その他の医薬品と比較して」という注釈つきではありますが、ロゼレムは妊娠中でも飲みやすい睡眠薬ということができるでしょう。そのぶん、「赤ちゃんにとってもいい方法」と考えることができるため、罪悪感をかかえたまま他の医薬品を飲むよりも不安やストレスが少なく、赤ちゃんにもいい影響を与えるかもしれません。

 

もちろん、何も服用しないのが最もよいのですが、どうしても眠れないという場合はロゼレムを検討するのも手でしょう。

 

授乳中はロゼレムはどう影響する?

授乳期間は、赤ちゃんはママの母乳だけを飲むことになります。なので、ママがロゼレムを服用していた場合、母乳を通してロゼレムの成分が入り込んでいきます。それが赤ちゃんに強く作用してしまうと、運動能力低下などのリスクが出てくる可能性があります。

 

一般的に、妊娠中よりも授乳中の方が睡眠薬の赤ちゃんへの影響は大きいと言われているので、できるだけロゼレムを飲むのはやめたほうがいいでしょう。

 

ただ、妊娠中と違って、母乳ではなくミルクにすれば、ママの影響を完全に断ち切れるということがあります。睡眠薬関係なく、母乳が出ないのでミルクにしている、というママも結構いるので、完全ミルクで育児をするのがもっとも妥当でしょう。

 

完全ミルク育児だと、ママの免疫力が赤ちゃんに伝わりにくいというリスクは確かにあります。しかし、初乳に入っている「免疫グロブリンA」さえ赤ちゃんに伝えておけば、最低限の免疫は渡すことができると言われています。なので、初乳のみ赤ちゃんに与えておき、その後は完全ミルク育児に切り替えるというのが上手なやりかたでしょう。